![]()
|
|
|
|
只今、ご紹介頂きました産業立地研究所の真野でございます。お招き頂き有り難うございます。 滋賀県の産業振興の推進についてと題してお話させて頂きます。 既にご案内のように県は今年の3月に産業振興の戦略方向を示す「産業振興新指針」を発表しました。 基本理念は「産学官連携体制の構築と創造型・自律型産業構造への転換」です。私はこの自律型の自律がself supportの自立でなく、autonomyの自律であることに興味を持っています。 Self supportの自立の意味は「他への従属から離れて一人立ちすること。他からの支配や助力を受けずに存在する」ことです。 autonomyの自律の意味は「他からの支配、制約を受けず、自分自身で立てた規範に従って行動する」ことです。「他からの支配、制約を受けず」は self supportと同じですが「自分自身で立てた規範に従って行動する」ことはself supportとは違うからです。 地方分権の時代。この気概が大事なことです。 それはさておき、産業振興指針では、この理念に則り、素材を活かした滋賀らしさの追求など6つの基本方向を示し、プロジェクト構想として、地域特性を活かした県版経済振興特区推進プロジェクトなど8つのプロジェクトを掲げています。 産業振興指針を読みました。良くできています。この通りに実施できれば、激しい地域間競争に勝てます。滋賀県の将来は明るいと思います。 頑張って欲しい。 本日の講演を依頼された時、この産業振興指針について言及するのかと思っていましたが、事務局では特にこだわらなくて良いとのことです。 従って、産業振興指針を念頭に置きつつ、これを推進するために何をなすべきかについて、お話させて頂きます。
I 地域独自の産業政策をつくる□ 産業政策の意味と必要性先ず大事なことは、滋賀県独自の産業政策を策定することです。産業振興指針に示されたプロジェクトなどを実現するためには、産業振興指針を産業政策にまで高めていくことが必要であると思います。 経済辞典によれば、産業政策とは、「一国あるいは一地方の産業の保護、育成、発展などを図る政策である」とされ、その種類は「外部からの保護、技術開発 の支援などの産業に関する政策、社会資本の充実、産業資金の供給、租税上の優遇措置など産業の環境を整える政策など多様である」とされています。 私は、この定義に則り、いま必要な産業政策とは、「一国あるいは一地方の経済発展の推進力になる既存産業の国際競争力の強化や国際競争力を持った戦略産業の創出を図るため、限られた政策資源を重点配分する政策体系である」と思っています。 政策資源の重点配分が最も重要なことです。 指針はあるべき方向を示すものです。政策は資金、税金など政策資源の配分を明確にしたものです。指針と政策の違いはこの点にあります。 滋賀県の産業指針は既に産業政策の近いものでありますが、8つのプロジエクトに政策資源の配分が伴えば、産業政策の域に達するでしよう。 産業政策は今まで国の仕事でした。国は、世界や国の産業動向や企業動向などを睨み、産業の発展戦略を定め、法律などを作り、国の政策資源を配分してきました。 企業の多くは国の産業政策が示す方向に沿って、自由競争のもと戦略を展開し、自治体は地域の産業の振興、地域の産業構造の転換などを展開してきました。 これからも、国の産業政策は必要です。 しかし、国の産業政策とともに、地域の産業政策が必要になってきました。 その理由の 第一は、公共事業に依存する地域経済活性化に余り期待できなくなったため、新たな戦略が必要になってきたこと。 第二は、海外立地、海外生産の増加などにより、県外からの企業誘致が国難になってきたのに伴い、従来にも増して県内の企業の戦略に照準を合わせた支援が必要になってきたこと。 第三は、このような現実に対応して地域独自の産業資源を活用して、地域から新産業・新事業・新企業の創出が急がれていることです。 つまり、このような現実に地域が対応するためには、ただ単に全国一律の国の産業政策に自治体が右へ習えしていたのでは、激しい地域間競争に勝てなくなります。 すなわち、公共事業が減った分を補って余りある産業を地域から振興しなくてはなりません。 企業誘致もどこの会社でもいいというより、地域の産業戦略との関連で的を絞り、誘致活動し、インセンティブを与えることが効果的です。 地域から新産業などを創出するためには、地域にある企業、大学などの産業資源を総洗い出し、産学官連携などにより、取り組むことが効果的です。 そのための戦略戦術を立て、政策資源を重点配分するのが地域の産業政策なのです。 地域間競争に勝ち抜いて行くためには、「選択と集中」が必要です。地域の産業資源の特性とポテンシャルを活かし、どのような産業を誘致するか、どのよう な産業を創出するか、そのためにどのような政策資源を重点配分するかを、地域独自の判断で決め、実行しなければなりません。 何をやるかを決めることが大事ですが、何をやらないかを決めることも大事です。 例えば、ものづくりについて言えば、地域でつくった方がいいものは地域でつくる。地域でしかつくれないものは地域でつくる。地域でつくらなくてはならないものは地域でつくる。これらものづくり基盤をなす技術は地域でつくる。 今まで自治体は、国の産業政策に右へ倣えが多過ぎたと思います。 例えば、これからは国がIT、バイオ、環境、ナノテクを21世紀の戦略産業として掲げたからといって、直ちに右へ倣いするのでなく、地域の産業資源を検 討した結果、国が掲げた戦略産業とは全く別の産業を戦略産業として位置づけ、その創出を目指すことであってもいいのです。
勿論、その結果、国が掲げた戦略産業の創出が可能であれば、それを目指せばいいのです。 今までは、余り深く考えずに右へ倣えが多すぎました。右へ倣えせず、深く考えることが地域の産業政策に繋がります。 地域の産業政策は都道府県の産業政策あり、市町村の産業政策ありということです。
□ 産業政策の作り方地域の産業政策をどのようにして策定するかについて述べます。 基本は戦略産業を決め、政策資源を決め、それを戦略産業に重点配分することですが、そのためには次の手順を踏みます。 第一は、地域の産業資源を全て洗い出し、既存産業の振興、新規産業の創出などの可能性と熟度を評価することです。 産業資源とは地域に存在する森羅万象を指しますが、主なものは大学、国公立試験研究機関などの知的資源、産業・企業・技術など生産資源(研究・開発・生 産)、研究者・技術者などの人材資源、農林水産資源、天然資源などを指します。港湾、高速道路、空港などのインフラも資源のうちに入ります。 特に、重要な産業資源になるのは大学などの知的資源です。大学はビジネスの宝の山ともいわれています。今まで産学官連携に係わる規制があったため、それが掘り起こされていなかった、掘り起こすことが難しかったこともあって、大学発ビジネスが少なかったことは事実です。 しかし、ここ数年、法律、制度が整備され、規制緩和も進んだので、全国的に産学官連携が活発になっています。 滋賀県はその先端にあることはご承知の通りです。 第二は、この結果に基づき戦略産業を設定するとともに、その担い手となるプレーヤー(企業)とサポーター(支援者)を設定することです。 地域の産業資源は地域ごとに特色があるので、国が掲げた戦略産業以外の地域独自の戦略産業が登場する可能性があります。 従来の産業振興ビジョンなどでは戦略産業は明示していますが、その担い手ははっきりしていません。産業政策では担い手をはっきりさせることが必要です。 担い手となるプレーヤーは県外からの導入、県内から内発の両輪立てになります。県内からは既に何かに挑戦している企業、ニッチトップ企業、やっている企 業とでもいいましようか・・・。それにやる気のある企業、やれるポテンシャルのある企業、やる気満々の大学の先生、学生などが対象になります。 県外からは外国企業も対象にするべきでしょう。 いずれにしろ、プレーヤーの選定にあたっては、自治体が企業回りを徹底して行い、企業の実態を正確に把握し、現場の声を良く聞き、これを産業政策に反映させることが重要です。 支援者も大事です。地域プラットホーム、インキュベータなどで事業支援機関は既に整備されていますが、このほかメンター(自らの成功経験や知識を生かし、創業や企業経営を支援する人)、エンゼル、ベンチャーキャピタリストなどの登場が不可欠になります。 第三は、戦略産業に重点配分する政策資源を設定することです。 政策資源はソフト・ハード様々のものがあります。金融・税制の優遇措置、規制緩和、産学官連携など知的基盤、地域プラットフオーム、インキュベータ、イ ンキュベーションマネージャー、コーディネーター、リエゾンオフィサー、TLOなどの事業支援基盤、人材育成基盤、産業団地・貸し工場・貸し研究室などの 生産基盤、情報通信基盤、ベンチャーキャピタル、エンゼルなどの投資基盤などがあります。 何れも、産業政策の政策資源として必要不可欠のものですが、特に重要なことはこれらを組み合わせて、地域に創造(研究)-製造(生産)-商造(販売)を一貫したシステムを構築することです。
□ 地域産業政策のポイントどのような産業政策が地域にとって望ましいか。地域産業政策のポイントを話します。 第一は、既存企業が事業しやすくなる産業政策であることです。これは既存企業の戦略事業の展開を徹底的に支援するものです。 第二は、新規企業が立地しやすくなる産業政策であることです。激しい地域間の企業誘致合戦に勝ち抜き、新たな企業誘致を実現できる対策を立てることです。 第三は、大学が企業と連携し、新産業創出などに取り組みたくなる産業政策であることです。大学が産学官連携に本気で乗り出してきましたが、これを徹底的に支援するものです。 第四は、人々が起業したくなる産業政策であることです。大学発ベンチャー、離退職者発ベンチャー、女性発ベンチャーなどを支援するものです。 第五は、一つの成功が10の成功に連鎖し、また一つの失敗が次の失敗を生まず、新たな成功に連鎖する産業政策であることです。県内に幾つかのクラスターを形成し、この中で連鎖のネットワークを構築できるようにするものです。 第六は、地域あっての企業、企業あっての地域の関係を一層深める産業政策であることです。地域と企業が緊密に連携、共生し、発展できる風土を醸成するものです。 第七は、地域の産業資源から戦略産業創出を実現できる産業政策であることです。地域の産業資源を洗い出し、戦略産業創出の可能性を発掘、評価し、戦略産業創出のための創造―製造―商造のシステムを構築できるようにするものです。 このためには、経営、技術の両面に目利き人材が必要になります。特に、作ったものを売れるようにする、売れるものを作るようにする商造機能の強化が益々大事になります。
II 産業振興促進のための重点プロジェクト長々と産業政策について述べましたが、産業政策が策定されることを前提として、滋賀県の産業振興推進について、産業振興指針との重複を承知の上で、幾つかの提案をしたいと思います。 第一は、クラスターを形成し、集積拠点を構築し、国際競争力のある事業環境を整備することです。 クラスターとは葡萄の房の意味ですが、これが転じて地理的、一体的空間の中に多種多様な機能が集積する意味となり、一般には産業集積と理解されています。 クラスターは現在、経済産業省が産業クラスター、文部科学省が知的クラスターを全国展開しています。 クラスターが世界的に脚光を浴びたのは、ハーバード大学のマイケル・E・ポーター教授の著書「競争戦略論」によるものです。 ポーター教授は、国際競争力の強い国家、地域にはクラスターが形成されていること、国際競争力 のある企業はクラスターの中に多いこと、クラスターの集積効果に引かれ集積が集積を生み出している-ことを分析、国家戦略、地域戦略、企業戦略としてクラ スターが有効であることを提唱しています。
「特定の産業分野における関連企業、専門性の高い供給業者、サービス提供者、関連業界に属する企業、関連機関(大学、規格団体、業界団体など)が地理的に集中し、競争しつつ、同時に協力している状態をいう」と定義しています。 特定の産業分野、多種多様な機能、地理的一体性、競争と協力―がポイント。
「地域経済産業局が結節点になり、自治体と共同して世界市場を目指す企業を対象に、一、これら企業を含 む産学官の広域的な人材ネットワークを形成、二、経済産業省の地域関連施策を効果的に投入、これにより地域経済を支え、世界に通用する新事業が次々と展開 され、産業クラスターが形成されていくことを目標する」としています。 産業クラスターの支援策としては、地域の特性を活かした技術開発補助金、インキュベータ施設整備や起業環境整備補助金、産学官の広域人的ネットワーク形成補助金などがあります。
「地域の大学等の独創的研究成果に基づき、プロダクトイノベーション指向企業、起業支援機関等の集積を前提として、競争環境の下に連鎖的な技術革新と新産業の創造が起こる地域空間をいう」としています。 知的クラスターの支援策としては、事業実施地域には年間5億円の研究開発資金が5年間、試行地域には年間1億円が3年間、交付されます。
バイオ関連産業プロジェクト(220社) ものづくり元気印企業支援 (230社) 情報系ベンチャー振興 (200社) エネルギー・環境高度化推進( 80社)が展開中。
京都クラスター(京都ナノテク事業創成クラスター―京都府・京都市) 関西文化学術研究都市クラスター(ヒューマン・エルキューブ産業創成研究プロジェクト) 関西広域クラスター(彩都バイオメディカルクラスター―大阪。 再生医療等先端医療クラスター形成へのトランスレーショナルリサーチ―神戸)。
「企業、起業家、大学、国公私立試験研究機関、事業支援機関、団体などが地理的、一体的な空間に集積 し、相互連携のもと、優れた産業資源など地域の比較優位性を活かし、世界に通用する新産業・新事業・新企業などを次々と創出し、地域経済を自律的、躍動 的、持続的に発展させる国際競争力のある事業環境を持つ地域である。これらの事業活動を支援し、相乗効果を高めるためには、連鎖システムと広域ネットワー ク(人的、物的)が重要な基盤となる」としています。
実は上記の定義を含め、私が書いたものです。読み上げます。 「多種多様な機能の集積による相乗効果のもと、競争、協働の原理が働き、共鳴の磁場が起こり、 世界に通用する新産業、新事業、新企業などが次々と生まれる。それへの挑戦と失敗の試練を経て、更なる創造と革新へのダイナミックな連鎖が発生し、これが 循環し、持続する。この繰り返しが産学官連携、ビジネスパートナーネットワーク、事業支援ネットワークを一層強化し、知的活力が漲るエキサイティングで魅 力ある事業環境、起業風土が醸成される」ということです。 このような集積拠点を滋賀県でも形成して欲しいと思います。産業指針では国の構造改革特区と並び、県版 経済振興特区をつくるとしていますが、全県をクラスターと位置づけ、その集積拠点として国、県の特区を整備し、相互をリンケージし、県土の均衡ある発展を 図ることが必要です。 知的クラスターは集積拠点が割合はっきりしていますが、産業クラスターはまだ集積拠点づくりの方向が見えていません。 クラスターのクラスターたる所以は集積の利益を享受できる集積拠点があることですから、この点が課題になりましよう。 例えば、世界最先端のクラスターの一つがシリコンバレーです。面積3,840平方キロメートルのところに7,000社が集積しています。 面積は滋賀県(4,017平方キロメートル)よりちょっと小さく、奈良県(3,691平方キロメートル)よりちょっと大きいといったところ。183社 /100平方キロメートルの集積です。実はシリコンバレーの産業集積地域の面積はこの1/5の768平方キロメートルで、幾つかの集積拠点からなっていま す。これをベースにすると、911社/100平方キロメートルの集積となります。 一方、近畿の産業クラスターの4プロジェクトの参加企業は730社、近畿7府県の面積は 31,518平方キロメートルですから、2.31社/100平方キロメートルの集積でしかありません。それぞれのプロジェクトが何処か1ヵ所にまとめて、 あるいは譲って4箇所にまとめて実施すれば、集積の効果が挙がると思いますが、実際はこれら企業が各府県に分散しているので、集積の効果という点ではどう なのでしようか。 第二は、クラスターの集積拠点はいわゆるメッカづくりを目指すことです。 これは特定の産業とそれに係わる大学などを始めとする諸機能を集積拠点に集めることです。IT産業のメッカ、バイオ産業のメッカ、医療産業のメッカと 言った具合です。私は昭和60年ごろからこの考えを産業城下町づくり、新産業創造拠点づくり、産業創出クラスターなどと名付け、昭和62年8月と平成6年 11月の読売新聞の論点に執筆し、それ以降、日刊工業新聞に数回、東洋経済、経済産業省の機関誌にも2回、執筆しました。 この間、世界の国々では、このようなメッカづくりが進展し、クラスターの中核になっています。 例えば、
―など世界の多くのクラスターでは特定産業に的を絞った集積拠点づくりを展開しています。 何れも、大学・病院・企業と事業支援機関が一体となっています。特に、大学は中核としての役割を果たしています。 これに対して、日本では極く一部の地域がこのようなメッカづくりに取り組んでいるものの、まだ計画半ばの状況にあります。 世界にこの点でも後れを取っています。 産業振興指針では、時代に先んじる新産業の創造として滋賀3K産業を掲げています「環境」「健康福祉」「観光」です。これと並び「バイオ」「IT関連」を掲げています。滋賀県の戦略産業です。 これら戦略産業は県内にばらけず、特定の地域に集積し拠点を作ることが必要です。そうしないと、集積の効果が得られません。 第三は、大学を創造と革新の拠点にすることです。 只今、お話ししたように、外国の大学は既に創造と革新の拠点になっています。大学を核としてサイエンスパーク、リサーチパークなどの産業空間を構築しています。クラスターの集積拠点になっています。 この点も日本は外国に後れを取っています。 滋賀県には10の大学があります。知的資源の集積度が高いといえます。日本にはこれを含め700近い大学があり、自然科学分野だけでも、大学に17万人 近い研究者がいます。大学の研究費も2兆円を超え、このうち政府から1兆3,000億円を超えるものが配分されています。政府負担の研究費3兆円強の 42%ほどが大学に配分されています。 しかし、日本の大学の研究成果の社会還元は極めて少なく、スイスのIMDの国際競争力ランキングでは世界49カ国中、産学連携は32位、大学教育の競争経済への貢献度は49位と最下位です。 大学発ベンチャー1,000社プランが2001年に平沼プランとして経済産業省から打ち出され、既に昨年の夏で424社が誕生、1,000社達成も間近の様子ですが、アメリカの2,256社(90~99年)、ドイツの650社(97年)には未だ及んでいません。 大学はもっと社会貢献しなければなりません。地域や企業ももっと大学を活用しなければなりません。 もっとも、滋賀県はこの点、全国のモデルになっているようです。産学連携に熱心な大学があります。10の大学はいずれも、個性に富んでいるようです。 大学が創造と革新の拠点になる可能性が極めて高いと思います。 第四は、創造(研究)―製造(生産)― 商造(マーケティング、セールス)の循環シテムを構築することです。 売れるものを造る。造ったものを売ることができるシステムを構築することです。いいものを造った。しかし、売れなかった。ビジネスにならなかった。つまり製品はできたが、商品にならなかったという例は全国に余りにも多すぎるようです。 従って、創造の観点からはtechnology pushからの研究だけでなく、demand pullからの研究にも力を入れることです。 製造の観点からは品質、価格、デザインともに、適格なマーケティングにもとづく商品づくりに徹することです。 商造の観点からは販路開拓相談、商談会、展示会の開催などのほか、地域の特に営業力の弱い中小企業の販売を代行するための地域商社の設立、あるいは東京、大阪にある専門商社との業務提携により、造ったものを売り、売れるものを造るようにすることが必要です。 第五は、滋賀県にいれば起業に成功するビジネスモデルをつくることです。 そのためには、今まで述べた4つの提案が下地になりますが、それとともにインキュベータ、貸し工場、貸し研究室などの整備、特にインキュベーションマ ネージャーの確保、メンター、エンゼル、ベンチャーキャピタルの強化、地域の個人資産(全国で1兆4,000億円といわれる資産)を活用したベンチャー ファンドを創設することです。
以上、産業振興指針に十分に盛り込まれているものもありますが、このような方策を展開することが滋賀県の産業振興を促進するために必要不可欠であると思います。 要は県独自の産業政策のもと、政策資源を配分し、産学官が一体となり、クラスターをつくり、集積拠点を構築し、事業支援のシステムを完備するということです。 これが実現できれば、産業が振興することは間違いありません。 先程、シリコンバレーのことに触れましたが、少し付け加えておくことがあります。それはシリコンバレーは今まで景気の変動があって、落ち込んでも、必ず蘇り、強かに生き残り、変わり続けていることです。 「シリコンバレー、なぜ変わり続けるのか」という本が日本経済新聞社から刊行されていますが、その要因としては次のようなことを指摘しています。
このシリコンバレーが変わり続けられる要因と、先にお話しした産業クラスターで起こる諸活動のイメージを是非とも、滋賀県で創出して欲しいと思います。
滋賀県の産業振興の成功を祈念し、講演を終わります。 ご静聴、有り難うございました。
|